新宿御苑  旧洋館御休所

竣工:明治29年(1896)
設計:宮内省内匠寮(片山東熊)

東京都新宿区内藤町11新宿御苑内


明治5年、内藤家の江戸屋敷であったこの地に近代農業振興を目的とする『内藤新宿試験場』が設置され、
果樹・野菜の栽培、養蚕、牧畜などの研究が幅広く行われるようになります。
(いまも残っている日本庭園は、かつて内藤家が玉川上水の水を引き込んで作った『玉川園』の一部だそうです。)

明治12年には宮内省所管の『新宿植物御苑』となり、鴨池、養魚池、動物園(その後上野動物園に下賜)等が造られ、
皇室の御料地・農園として運営されるようになりますが、明治39年には西洋式庭園へと大改造されます。
大正期になると西洋庭園が9ホールのゴルフコースとしても利用されたりもしました。

この建物は、明治29年に皇室の休憩所として宮内省によって建てられました。
御苑を訪れた皇族は散策やゴルフ、テニスなどのスポーツを楽しみ、この施設で休憩しました。

 

当時のアメリカ住宅で流行していたスティック・スタイルとよばれる建築様式を使った建物です。皇室に関係ありというとどうしても華麗な建物を創造してしまいますが、この建物はとても落ち着いた造りです。

 

避暑地にある別荘のような雰囲気です。新宿という都心部に居ることをしばし忘れさせてくれます。

 

昭和20年の空襲によって御苑の建物はことごとく焼失してしまい、残ったのはこの旧洋館御休所と旧御涼亭(台湾閣)の2棟だけでした。
明治時代に建てられた木造洋館は現存するものが少ないので貴重なものです。